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2010年12月28日 (火)

白い光

森の中にぽっかりと浮かんだ小さな窓。
この窓を覗くと、未来の自分が見えるという噂が広がり、
人々が長い列を作って、自分の番を待っている。

覗いておおよろこびする人、
頭を抱えて落胆する人、
奇声を上げる人、
無表情になる人……
人の数だけリアクションがちがう。

「わたしにはどんな未来が見えるんだろう」

ピコは自分の番が来ると、
背伸びをして小さな窓を覗き込んだ。
じーっと、じーっと覗く。
目を凝らして一生懸命覗く。

じーっと、じーっと。
じーっと、じーっと。

Tobira

「早くしてくれよ」
後ろの男がせかすので、
仕方がなくピコはその場を離れた。

「で、なにが見えたんだい」
家に帰る途中、
フクロウが話しかけてきた。

「う、うん」
浮かない表情のピコ。

「もしかして、なにも見えなかったとか」
と、フクロウ。

「白かった。白い光しか見えなかった。
どんなに目を凝らしても、
わたしには光しか見えなかったの」

「へぇ、良かったじゃん」

「え!? なんで。
わたしだけ神様に見放されたのよ」

「そうじゃない。
きみの心は期待も不安もなくてまっさらなんだ。

期待や不安って現実的じゃないよね。
頭の中の世界だよね」

「どういう意味?」

「未来が見えた人は、
自分に期待して都合のいい世界を見ただけだよ。
落胆した人たちは不安だらけで、
そもそも自分を信じていない」

「言ってる意味がわからないわ」

「未来って、
わからないから一瞬一瞬がこんなにもいとおしい。

出会いを楽しみ、
別れに胸が詰まり、
うまくいかないことがあると、
そのままごろんと横になって眠り続ける日もあるかもしれない。

それでもいつかは立ち上って、
現実と向き合って壁を乗り越えるしかないけど、
そのあと、
やけにすっきりした新しい自分と出会える」

「新しい自分……」

「そして、気付いたらとんでもない未来を手にしてる。
笑っちゃうくらいお気に入りの未来を」

ピコは黙って考える。

「見放すも見放さないも、神様は自分の中にいるんだよ。
白い光がその証拠さ。

なにも考えなくていい。
恐れなんて幻想だ。
自分を信じて、感じるままに生きるんだ。

もやっとしたとき、
妙にひっかかったことがあったら、
重要なサインだから必ず立ち止まって。

気のせいにしたり、
感覚を麻痺させちゃだめだよ。

未来に期待せず、不安を持たず、
揺るぎない心で自分を信じる。

それが真の強さ。
その強さが白い光なんだ」

そう言うと、
フクロウは大きな羽根を広げて森の奥へと飛んでいった。

「来年の今ごろ、きみはどんな顔をしているのかな」

遠くから聞こえた気がした。

∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴

☆画像説明

「この覗き穴はわたしの家の玄関に付いているの!
ガラスが入ってないから、扉を開けると風がはいるのよ。
うふふ。
」(店主)

☆おまけ
2010122717330000

※店主がイメージしたピコ。
ステキなイラスト、ありがとう!!!!!

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